は、いいかげんに一区切りつけたい。
と思っているのですが、なかなかこのことから離れられないのは、この問題がわたしたち日本人の「存在」、というか「あり方」と深く関わっている、と考えるからであって、
オウム真理教に対する宗教的シンパシーによるものではないのです。
ということで、またその話しになるわけですが(笑)
「日記」でもとりあげた「獄中の麻原彰晃」という本のなかで、拘置所で麻原氏の世話をした、という人が、
「刑務官の支持で、かなり大量の薬物を麻原氏の飲むお茶に入れていた」と話しています。
さすがに疑問を感じたので、刑務官に「何の薬か?」聞いたところ、刑務官は睡眠薬だ、と答えたそうです。
また、「注射」もときどき行われていたらしい。
「薬物」に関しては、麻原氏の意識がまだはっきりしている頃、裁判で麻原氏自身がそのことを訴えていて、「ヘロイン」ではないか?と言っています。
これを読んでわたしが思ったのは
「なんだか日本のことではなく、外国のスパイ小説ようだなあ」
ということ。
? !この「外国・・・」というフレーズで、わたしの頭に浮かんだのが、1978年にあったアメリカの「人民寺院」事件
「・・・あっ。似てる」
中央のサングラスの人物が人民寺院(ピープルズ テンプル)の「教祖」、ジム・ジョーンズ氏です。
常にサングラスをかけていたのは目が悪かったためでしょう。
こんな点も麻原氏に似ています。
キリスト教の牧師だったジム・ジョーンズ氏の宗教と、麻原氏の仏教に基づく宗教。
基本となる宗教は違いますが、「弱者救済」を強く打ち出した、その教団の「社会」に対する姿勢、教団の展開、権力に追いつめられ破滅する結末、は瓜二つといっていいほどなのです。
「人民寺院」に関しては、「世界最悪のカルト」という評価が定着していて、情報も徹底してネガティブなものばかりなため、実際のことはほとんどわからない状態なのですが、
「図説 自殺全書」(マルタン モネスティエ 著)に教団の「教義」に関することとジム・ジョーンズ氏の言葉がいくつか載せられていますので、そこから抜書きさせてもらいます。
(こちらもかなり偏った見解(=ジム・ジョーンズは共産主義者である)に基づいているのでその点割り引かなくてはならないのですが、他の情報よりはマシなので)
→『この神秘主義者(ジム・ジョーンズ) - 悪魔や罪の中ではなく、社会やテクノロジーの中に敵を見る者 - は、自らをキリスト、レーニン、毛沢東の再来だと称するに至った』
『ジョーンズは数年間人種差別や麻薬と闘い、高齢者のために運動し、貧窮者に無料で食事を与えていた。
~ 一人の息子の他に、有色人種四人を含む、七人の子どもを養子にしている。この種の行為にある種の勇気を必要とした時代に』
『彼はまた、法が人種差別を禁じる以前に、映画館やレストランのオーナーに対して、黒人にも門戸を開くよう説得している』
『人民寺院は教会を買い取り、膨大な数の信者を新加入させた。
~この時期(1971年頃)人民寺院は、診療室、託児所、建具造作製造場、印刷所、毎日数百人の人間に無料で食事を与え続けるための厨房をもっていた。
当時の信者は三万人と推定される』
『信者の素性は実に多様だった。
黒人、障害者、もちろんあらゆる貧困者など。
~大部分は弱者だが、理想主義者やアメリカの知識人の典型ともいえる人々もいた。
公民権のために闘ったかつての闘士、ベトナム戦争の生き残り、自国で見いだせなかった理想の社会を熱望する夢想家。』
『彼(ジム・ジョーンズ)の話はマルクス主義の原理と宗教的な呪詛を奇妙に混ぜ合わせたものだった。
信心深い人には宗教を与え、イデオロギーを信じる者には政治を与える。単純な人や無知な人には奇跡を与える。
そして、すべての人に、希望を与える』
以上、「人民寺院」についての、「ネガティブ」でない部分を抜き書きしてみました。
「ネガティブ」なものは、オウム真理教におけるこの国の「報道」を思い浮かべていただければいいかと(笑)脱会をめぐるトラブルとか殺人事件等、こちらもそっくりです。
教団への攻撃がマスコミから始まったのも同じです(オウムではサンデー毎日?、人民寺院ではニューズウィーク?など)。
(結末は、「教祖を含む900人以上の集団自殺」(人民寺院)、「サリン?事件→教祖を含む教団幹部13人の処刑」(オウム真理教)と、異なっていますが、)
あと見逃せない共通点としては、ロシア(オウム真理教)、旧ソ連としてのロシア(人民寺院)。
人民寺院は旧ソ連を「約束の地」として移住を計画していたし、オウム真理教がソ連崩壊で生活に苦しむロシア国民の間で「救済」を語り、信者を増やしていったのは周知のことです。
ちなみに、現代のロシアはオウム真理教を「禁教」としているようですが、
旧ソ連は人民寺院の集団自殺の際こんな「声明」を出しています。(同書)
→『ジム・ジョーンズはガイアナのジャングルで暮らす反体制者だったが、アメリカ当局が彼とその信者に制裁を加えるために、その地まで襲いかかってくるのではないかと恐れていた。
アメリカ社会の特徴であるあらゆる議論の抑圧。それが彼らすべての死の原因である』
・・・オウム真理教事件に関して、われわれは国内にしか目が行かないのだけど、国際的というか、世界的な視点を持つ必要もあるのではないでしょうか?ね?
追:
麻原氏は「第三次大戦で殆んどの日本人は殺される」ということで、そのときの「防衛」のために教団の武装化を計画・実行していたようですけど、
ジム・ジョーンズ氏もこんなことを言っています
→『必ずやいつかアメリカを襲う核による大虐殺、ファシストによる専制、に耐えて生きのびることができるように、あなた方(信者)は準備しておかなければいけないのだ』
また、「人民寺院」の信者は、アメリカに帰れば自分たちには「拷問」と「虐殺」が待っているだけだ、と信じていたということですが、
日本でのあの13人処刑を見ると、あながち荒唐無稽とも思えなくなってしまうんですよねえ・・・ 恐ろしい・・・